地上波デジタル放送4k化
地上波デジタル放送での4K本放送開始の具体的な計画は、現段階ではまったく決まっていません。今までどおりのハイビジョン(2K)放送が継続される見通しです。
総務省から『放送用周波数を有効活用する技術方策に関する調査検討』の委託を受けて、一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が、2019年度から東京地区、名古屋地区、大阪地区、福岡地区において、地上テレビ放送の高度化(4K・8K等への対応等)に向けた実証実験を実施している段階です。技術的な問題、テレビ等の買替え負担の問題など、乗り越えるハードルがいくつもあります。
しかし、「ハイブリッドキャスト」という新しい発想による4K番組の配信を準備ができ次第、放送とネットで同時放送を楽しめる4Kハイブリッドキャストをスタートするようです。
BS/CS衛星放送では、高周波数帯域【2224MHz~3224MHz】を使用して高画質放送を実現しました。地上波デジタル放送の周波数帯域は【470MHz~710MHz】と低周波数帯域になっており高画質放送向けの周波数ではありません。そこで、4k画質をいったん圧縮して送信しテレビ側で元に復元して4k画質を視聴する、高圧縮が可能なH.265(HEVC)コーデック技術の採用が検討されています。しかし、テレビ等の互換性の問題がまだまだ残っており採用には難しいようです。
地デジ放送は、2003年に段階的にスタートして、2011年にアナログ放送から完全移行となりました。この時のテレビ等の買替え負担を覚えている方もいらっしゃると思います。同じようにまた地デジ放送を4K化する事になると、買替え負担からわずかな年数しか経たない間に、再びテレビの買替えを強いることになるので現実的なお話ではありません。4k画質の圧縮と復元技術にしても、今ある全てのテレビ等が対応できていませんので、同じことが言えます。
4k:ハイブリッドキャスト
現在、4k地デジ放送の実現に向けて最も有力なのが、ハイブリッドキャストによる配信です。
ハイブリッドキャストとは、放送とインターネットを融合したサービスで、対応してるテレビも多数存在します。実際に行われている、4K動画のネット配信技術を使って地デジ番組を4kで視聴するわけです。
今までは放送法の規則で、放送とインターネットで同時に番組を流すことが不可能でした。しかし、放送法が改正され同時放送が可能になりました。そこで、各局とも準備ができ次第、放送とインターネットサービスを使用して、同時番組が楽しめる「4kハイブリッドキャスト」の配信をスタートする予定です。
ここまでのお話で、今の段階の地デジ放送の4k化は難しいのがわかりました。しかし、4kテレビでの地デジの画質はどのようになっているのですか?
現在の地デジ放送は、2k(フルHD)で電波が送信されています。ご家庭に届いた2k電波をテレビの機能を使い、アップコンバート(画質を上げる)して、4k画質に近い映像にしてくれています。
4kテレビでも、4kBS/CS放送とは違い、地デジ放送では厳密な4k画質ではなくて、4k画質に近いテレビ映像になっているわけですね。